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ゴールデンスランバー
伊坂幸太郎著 新潮社(2007年11月) 図書館に2008年12月に予約を入れて、やっとまわってきた本。待たされた分だけ、期待も大きかった。 その期待を裏切らない、ミステリー傑作。 ストーリー展開も大変面白かったが、読んでいて不気味に感じたのは、巨大な国家権力の前に個人はなんて無力なのか、ということと、監視社会の怖さだ。 この2点はハリウッド娯楽映画でもよく描かれているが、舞台が仙台で主人公は元宅配ドライバーという設定が妙な現実味を帯びて、近い距離感で読んだせいかもしれない。 訳が分からず、とにかく警察の手から逃げる青柳雅春の、「人間の最大の武器は信頼だ」(事件に一枚かんでいた友人の言葉だった)と言えるところもすごい。 青柳をとりまく人たち(連続殺人犯も助けていたが…)は、どれも味のあるキャラクターだ。 手に汗にぎる逃亡劇も展開される一方、しっかりユーモアも忘れていない。 若者たちのセリフ「おっさん、あれでしょ」「犯人でしょ!」「逃げてる最中だもんなあ」「頑張ってね。おっさん」「俺たち、ただ、挨拶したかっただけだから」「そうそう」「写真も撮らないで、我慢するし」 「どうぜやってねえんだろ」「俺たちなんて、いつもやってねえことをやった、って言われてるんだ」「すげえ、分かるよ、その気持ち。濡れ衣ほどつらいものはねえよなあ」(p360-361) そして、一番大きく心が動いたのは、青柳雅春の父親がマスコミに対して言い放った言葉だ。 「俺は、あいつが素っ裸で生まれて来た時から、知ってんだ。母ちゃんなんて、あいつのことに関してはもっと詳しい。腹にいた時から知ってんだからな。歩き始めた時も、言葉を喋りはじめた時も全部、俺は見てきた。長えんだよ、付き合いは。で、昨日今日、雅春のことを調べたようなおまえに、何が言い切れる」(p430) 「信じたい気持ちは分かる?おまえに分かるのか?いいか、俺は信じたいんじゃない。知ってんだよ。俺は知ってんだ。あいつは犯人じゃねえよ。」(p430) 「名乗らない、正義の味方のおまえたち、本当に雅春が犯人だと信じているのなら、賭けてみろ。金じゃねえぞ、何か自分の人生にとって大事なものを賭けろ。おまえたちは今、それだけのことをやっているんだ。俺たちの人生を、勢いだけで潰す気だ。いいか、これがおまえたちの仕事だということは認める。仕事というものはそういうものだ。ただな、自分の仕事が他人の人生を台無しにするかもしれねえんだったら、覚悟はいるんだよ。なぜなら、他人の人生を背負ってるからだ。覚悟を持てよ。」(p430-431) 「こっちはどうにかするから。母さんもそれないりに元気だ。おまえもどうにか頑張れや。」 「雅春、ちゃっちゃと逃げろ」(p432) と最後にはテレビカメラに向って、自分の息子にメッセージを送るという、肝が据わり方。 このごろ巷では、親子間の殺人事件が多いだけに、このような親の深い信頼と愛情に泣かされた。 #
by ou_allons_nous
| 2009-08-01 08:00
| Books
YOGA fest YOKOHAMA 2009
http://yogafest.jp/2009/ 「自分に合ったYOGAと出逢う」「手法の優劣ではなく違いを知る」「YOGAを文化として根付かせる」: このようなコンセプトのもと、9月の連休3日間パシフィコ横浜で実施されるYOGAイベント。 今年で6回目らしい。全く知らなかった。 無料エリアのブースイベントエリアも楽しい企画でいっぱいとのこと。 ただ、上記サイトのどこを見ても、主催者の名前が見当たらない。(サポーター一覧はあったけれど) 「チケット購入」をクリックすると、YOGA TOWNのシステムへとつながる。 運営に関する情報が少ないのが少し不満に感じる。 内容に話を戻す。スケジュールを見ると、一日約40近くのYOGAクラスがあるので、3日間でざっと120クラス。 どれも違うYOGAで、レベルも初級から指導者レベルまで多様である。 講師一覧のページには、80名近くのインストラクターの名前とそれぞれの担当クラスが掲載されている。 どのYOGAクラスに出るか、選ぶだけでも相当時間がかかるのではないか。(この選ぶプロセスも楽しいのだが) 既に4分の一ほどのクラスは予約で一杯になっている。 それにしても、実にさまざまなYOGAの種類(スタイル?)があることに気づく。 クラス説明を読んでいても、いろいろ発見があって面白い。 実際にYOGA festに参加すると、更なる発見や学びがあるのかもしれない。 新しいYOGAとの出会い、新しい人との出会い、(新しい自分との出会いも?)、ワクワク感・楽しさが高まる。 #
by ou_allons_nous
| 2009-07-31 20:00
| 今日の発見
思考の整理学
外山滋比古著 筑摩書房(1986年4月第一刷発行、2009年6月第53刷発行) 20年以上も前に書かれたものだが、いまの時代だからこそ更に強烈な至言となっている。 「もっと若い時に読んでいれば…そう思わずにはいられませんでした」という帯の言葉には十分うなずけるが、決して遅すぎることはない。 かみしめながら、自分や社会をふりかえりながら読んでいる。 今回は6つの章から、IとIIを取り上げる。 当時の(いまも変わっていない)学校教育のあり方に苦言を呈している「グライダー」。 先生と教科書にひっぱられながら、先生から言われることを一生懸命勉強する。しかし、独力で知識を得るのではない。 そんな生徒のことを「グライダー」と比喩している。自力では飛び上がることができない。 「人間には、グライダー能力と飛行機能力とがある。受動的に知識を得るのが前者、自分でものごとを発明、発見するのが後者である。両者はひとりの人間の中に同居している。グライダー能力をまったく欠いていては、基本的知識すら習得できない。何も知らないで、独力で飛ぼうとすれば、どんな事故になるかわからない。 しかし、現実には、グライダー能力が圧倒的で、飛行能力はまるでなし、という"優秀な"人間がたくさんいることもたしかで、しかも、そういう人も"翔べる"という評価を受けているのである」(p13) 学校教育の現状は、グライダー人間を量産し、飛行機人間を育てる努力はほんのすこししかしていない、とも言及している。 確か、自分で「考える力」は、先ごろ叫ばれていた「ゆとり教育」の目玉であったはず。 その「ゆとり教育」もいまや風前の灯。 理念と現実のギャップで苦しむのは子どもたち。 この本全体で、グライダー兼飛行機のような人間になるための心掛けが書かれている。 卒業論文におけるテーマの絞り方を説明しているのが、「醱酵」。 文学研究なら、作品を読み、自分が何か感じるところ(感心や違和感)、わからない部分などを書き抜く。 これが素材。素材だけあっても論文は書けない。 外山さんは、ビールをつくる過程になぞらえながら、醱酵素となるヒントやアイデアが必要になることを述べる。 同類のものではなく、異質なところからもってくるのである。 しかし、アイデア(酵素)と素材(麦)だけあれば、すぐ醱酵はしない、ビールはできないのである。 ここで大切なのが、「寝させる」こと。 「頭の中の醸造所で時間をかける。あまり騒ぎ立ててはいけない。しばらく忘れるのである。"見つめるナベは煮えない"。」(p33) いつもペーパーやレポートを締めきりギリギリでなければ取り掛からない自分としては、この「寝かせる」作業をしたことがない。 「熟したテーマは、向こうからやってくる」フランスの文豪、バルザックの言葉が突き刺さる。 頭の中で酒をつくる、そこから生まれたものが自分の思考。まざりものがない、独創である。 しかし、こういう考えや着想をもつと、どうしても独善的になるらしい。 そこで外山さんは、アメリカの女流作家ウィラ・ギャザーの言葉「ひとりでは多すぎる。ひとりでは、すべてを奪ってしまう」を引用し、思考の整理の仕方を「カクテル」で伝える。 すでに存在するものを結びつけることによって、新しい考えが生まれる-触媒的創造について大変興味深い。(「触媒」p54-59) 「発想の母体は触媒としての個性」という至言を心に留めておきたい。 #
by ou_allons_nous
| 2009-07-31 08:00
| Books
湘南鎌倉 鯵の押寿し (大船軒)
所用で鎌倉へ行った際に、駅の構内で大船軒の「鯵の押寿し 特上」を初めて購入。 一気にその味の魅力にはまる。美味しい~! (食べ物やお酒の味を表現する語彙に乏しい自分が口惜しい。) 早速、大船軒のHPを訪問。 http://www.ofunaken.co.jp/index.html ******************************** 「特上 鯵の押寿し」 鮮度の高い極上の旨味のある小鯵、その小鯵からわずか2切れしか取れない身を伝統の合わせ酢でしめ、押寿しにしました。 まろやかな味わいの贅沢な旨味をご堪能ください。 神奈川名産100選にも選定されている名品です。 ********************************* 古くから、北原白秋、魯山人などの鎌倉に縁のある文人墨客に親しまれてきたなどと書いてあると、付加価値が一層高まる。 駅売店のポスターには、それぞれのカロリー表示まで記載されていたが、低カロリーで健康にも嬉しい一品。 鯵の押寿しの説明は以下の通り。 ********************************* 「湘南鎌倉名物 鯵の押寿し」 あじ(鯵)とは、3月頃から味が良くなるということから、魚扁に参という字が充てられたそうです。 大衆魚の王者で、脂肪が多い割にくせが無い旨みの多い魚です。 新井白石はその著書に、「アジとは味なり、その美なるをいう」と書いています。 鯵は イノシン酸が多いので旨みにコクがあります。 大船軒の鯵の押寿しは大正二年販売開始といいますから100年もお客様に支持され続けている長寿商品です。 地元大船をはじめ、湘南名物として今では広く知られるようになっています。 大船軒の「鯵の押し寿し」は小鯵を関東風ににぎり、関西風に押して仕上げるもので、大正2年4月に 発売となりました。 当時、鯵は江ノ島近海で湧く(わく)ように獲れたとの事。 その中から 身の締まった「小鯵」だけを使い、半身で一握りという贅沢な押し寿しは、当時のベストセラー「サンドウ井ッチ」に 増して人気を博しました。 現在は、日本有数の鯵の産地である九州の五島産の鯵を使用し当時の味をそのままに、お届けいたしております。 ************************************** この鯵の押寿しのほかに、明治32年日本で初めて駅で売り出したサンドウィッチ復刻版にも食指が動く。 シンプルなハム(鎌倉ハム)のみのサンドウィッチ。 包装紙に描かれているレトロな絵も味わい深い。 日本には美味しいものが本当に沢山ある。 それら美味しいものを味わえる機会があるのは、幸せなことだ。 #
by ou_allons_nous
| 2009-07-30 22:00
| 今日の発見
図説 地図とあらすじでわかる! 聖書
船本弘毅 監修 青春出版社(2009年5月) 以前より世界三大宗教と呼ばれる仏教、キリスト教、イスラム教や、その他ヒンドゥー教などに関する基本的なことを学びたいと思っていた。 海外で仕事をする機会がある度に、信仰する宗教の教え・考え方が人生や生活のバックボーンである人が多いのに気づく。 世界情勢や変化を読み解くにも、歴史や宗教の理解は欠かせない。 しかし宗教について学ぶというと、なんだか堅苦しく感じてしまうのは否めず、「そのうち…」と思いつつ現在に至った。 そんななかで出合ったのがこの本。幸運だった。 読みモノとして興味深く読むことができ、説明は簡潔でわかりやすく、そして数時間で集中して読めてしまう。 時系列に沿って、キーワード説明をすることで、聖書のあらすじをわかりやすく解説している本。 文章が簡潔なのはもちろん、各キーワードに必ず掲載されている図表や地図が理解を整理し、深めるのに大変役立つ。 旧約聖書がユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖典であることは以前より知っていたが、ユダヤ人もアラブ人も共通の先祖を持つ兄弟であることを解き明かす(?)「アブラハム」一家にまつわる話などが印象的であった。 それにしても、この本を読んで、改めて人間の歴史は対立、争い、迫害、嫉妬、権力欲、裏切りなどで彩られていると感じた。そしていまも…。 個人的には、旧約聖書第2章の内容が大変興味深かった。 以下に目次を書き記す。 ************************************************ 序章 聖書とは何か 旧約聖書と新約聖書/契約/預言者/天使と悪魔/死海文書 第I部 旧約聖書 第1章 創世記 天地創造/エデンの園/カインとアベル/ノアの箱舟/バベルの塔 第2章 族長たちの時代 アブラハム/ソドムとゴモラ/イサク/ヤコブの生涯/ヨセフの生涯 第3章 約束の地を目指して 出エジプト/ヨシュアのカナン征服/士師の時代/剛勇の士師サムソン/ルツとナオミ 第4章 イスラエル王国の興亡 最期の士師サムエル/初めての王サウル/英雄王ダビデ/全盛期の王ソロモン/知恵文学 第5章 国家分裂とバビロン捕囚 アハブ王とエリヤ/ヨナ書/バビロン捕囚/ダニエル書/捕囚からの解放/美妃エステル 第II部 新約聖書 第6章 イエスの登場 イエス誕生前夜/受胎告知/洗礼者ヨハネ/荒野の誘惑/十二使徒 第7章 イエスの伝道活動 イエスの教え/イエスの奇跡/ユダヤ教のキリスト教/最後の晩餐/イエスの裁判/十字架/イエスの復活と昇天 第8章 弟子の時代 マグダラのマリア/十二使徒の布教活動/パウロの伝道/キリスト教の迫害/ディアスポラ/ヨハネの黙示録/最後の審判 ************************************************* この図説シリーズは他に「古事記と日本書記」「万葉集」がある。 #
by ou_allons_nous
| 2009-07-30 05:00
| Books
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